ビスパ
ビスパ
「その後はどうなったの?」
この先生は、他の先生と違って、ちゃんと私の話を聞いてくれる。その安堵感が私の舌を普段よりずっと滑らかにしていた。
「……気絶していた私は、その男子生徒に運ばれたのか、もう山を降りていました……あの刺青めいたものは彼から消えていました。もちろん、左眼もいつものように黒で」
先生は心底私に同情したように頷く。
「とても怖い目にあったのね……このこと、他の人に相談した?」
「相談はしましたけど……みんな夢を見たんだよって……ただ、うちの生徒は半信半疑で信じているような人もいました」
その答えが意外だったのだろう、先生は不思議そうな顔だ。
「どうして? 先生方や、ご両親は夢だろうって笑うのに?」
「……私、その生徒のウワサは聞いたことがあったんです。でも、直接会ったことはなくて、顔を知らなかったんです」
「それはどういう噂なのかしら」
「『歩く死神』って言われています……彼に関わった人間は次々と死んでいくって……」
「その人の名前は?」