ショウタイム

6

6

……けど、まさかあんなのが出るなんて……岩場に腰掛けていた私が見たのは……クマだったんです! 本当です!

 ……いえ、違います。私が夜な夜なうなされるのはクマが原因じゃなくて……あの、今更なんですけど……聞いても笑いませんか?

 い、いいえ、先生は信用していますけど! その……あまりにも現実離れしていることで……自分自身、幻覚でも見ていたんじゃないかと思うので……

 あ、はい、続きを言わないとカウンセリングもできませんよね……その、クマがノソノソと出てきたせいで、もう私はパニックになってしまったんです。

でも、怖すぎたのか悲鳴も出せなくて……それと、足を挫いていたせいで、背を向けて逃げることもできなくて……そうです、先生の言うとおり、逆にそれがよかったんです、はい、不幸中の幸い、って、ああいうのを言うんだと思います、運が良かったです。

 ……そうですよね、山の中で一人きりの時にクマと出会う以上に怖いことなんて、そうそうないですよね。

でも、あったんです。

 ……だ、大丈夫です……あの時のことを思い出すと今でも、と、時々足が震えるんです……体調が悪い訳じゃないんで……ご心配をかけてすいません……はい。

 話を、戻します。