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……けど、まさかあんなのが出るなんて……岩場に腰掛けていた私が見たのは……クマだったんです! 本当です!
……いえ、違います。私が夜な夜なうなされるのはクマが原因じゃなくて……あの、今更なんですけど……聞いても笑いませんか?
い、いいえ、先生は信用していますけど! その……あまりにも現実離れしていることで……自分自身、幻覚でも見ていたんじゃないかと思うので……
あ、はい、続きを言わないとカウンセリングもできませんよね……その、クマがノソノソと出てきたせいで、もう私はパニックになってしまったんです。
でも、怖すぎたのか悲鳴も出せなくて……それと、足を挫いていたせいで、背を向けて逃げることもできなくて……そうです、先生の言うとおり、逆にそれがよかったんです、はい、不幸中の幸い、って、ああいうのを言うんだと思います、運が良かったです。
……そうですよね、山の中で一人きりの時にクマと出会う以上に怖いことなんて、そうそうないですよね。
でも、あったんです。
……だ、大丈夫です……あの時のことを思い出すと今でも、と、時々足が震えるんです……体調が悪い訳じゃないんで……ご心配をかけてすいません……はい。
話を、戻します。