ショウタイム

ビルウ

ビルウ

「で、でも一生懸命作ったんだから!」

……天使は人間と味覚が根本的に違うのか?

 オレのこの評が毒舌というのは酷だ。それほどこの料理はヒドイ。醤油でビチャビチャになっており、塩と間違えた砂糖のせいで甘ったるく、全体的に黒いコゲがまとわりつき……駄目だ、表現すればするほど滅入ってくる。

『必殺料理』とでも命名すればいいのだろうか。読んで文字のごとく、食えば必ず死ぬ料理だ。

「……目玉焼き、とは言えんな、これは」

 女には聞こえないように呟き、幸一は奇怪な目玉焼きを残飯入れに投じた。

冷蔵庫の中身を確認し、自分で再度料理を作り始める。だが女は自作の目玉焼きが残飯入れに入れられたのを見ても笑っていた。

「何か面白いことがあるのか?」

 幸一が無表情に、しかし不可解そうな口調で尋ねると女は満面の笑みを返した。

「うん、面白いわよ。こうやって誰かと一緒に何かをするのは」

 無邪気に幸一が目玉焼きを作るのを見ている。

「どこが?」

「どこがって言われても……う〜ん」

 腕を組み、本格的に悩み始める女。幸一は音をたてるフライパンに視線を戻す。

「うまく言えないけど、一人で何かするよりは二人でやった方が面白くない?」

「……かもな」

 でしょう! と喜色満面で幸一の肩を叩くがすぐに首を傾げる。

「あれ? それならどうして幸一はいつも一人なの? 隣りに友達いるわよね?」