ショウタイム

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「何じろじろ見てんだよ」

晃はむっとした様子で仁科から目を離す。

「なあ、お前、櫛引と駅前のクレープ、どっちが大事だ?」

「決まってるじゃないか。櫛引だよ。僕のことを馬鹿にしているのか?」

晃はかなりムッとしてている様子で切り返す。

「わりいわりい。ちょっとしたジョーク……」

「クレープ一つと櫛引だったら、当然櫛引に決まっているじゃないか」

「…………」

辺りを一瞬沈黙が包む。

今は真夏の昼過ぎ。

なのにこの悪寒はなんなんだっ!

「……晃、一つ確認したい事がある…」

仁科の尋常ではない様子に数歩あとずさる晃。

「な、なんだい……」

仁科は喉をごくりと鳴らしながら、

「駅前のクレープ百個と……櫛引だったら……どうなんだ?」

『頼むから真っ当な選択をしてくれっ!』と瞳に熱い意思を宿しながら尋ねる仁科。

「そりゃ、もちろん…………櫛引に決まっているよ」

仁科は晃の表情を観察した。

唇が少々乾いており、眉がひくひくと動いている。更に頬が引きつっているように見えるのは気のせいではないだろう。その表情はうまく表現できないが、左右でばらばらと言うのが適切だろうか。何とも不気味だ。

「食欲に対して、かろうじて、人間としての理性と愛情をフル稼働させてぎりちょん勝ちっ、てとこか?」

晃はがっくりとうな垂れながら頷いた。